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2017年4月作品 ※この商品はメール便対象商品です(3点以内)
■作品説明
作・演出 サリngROCK
「あら、おかえり」
味噌汁を混ぜていたのは、蛇だった。
緑色のウロコ、黄色い眼。
口の真ん中からチョロっと飛び出す青黒い舌。
その舌の先は二つに分かれてる、そんな蛇が、味噌汁をよそった茶碗を僕に差し出した。
一週間前。
母さんがいなくなって、こいつが現れた。
こいつは、母さんと同じ味のご飯を作って、母さんの布団で眠って、母さんの好きなキャンディーズを歌う。
僕は、母さんのことを一番わかってる。
だから僕には、わかる。
母さん、早く言ってくれればよかったのに。
母さんがほんとは蛇やったってこと。
「今日は、なんの味噌汁?」
僕は笑いながらちゃぶ台の前に座る。
「今日は、わかめ」
青黒い舌をチロチロさせながら、母さんは、味噌汁の器とサンマの皿、それに白いご飯を僕の前だけに置く。
それから、棚の上に仕掛けた罠にひっかかっていたネズミを掴んで、僕の向かいに座る。
「いただきまーす」
家族の食卓が始まる。
母さんは、黒いネズミにかぶりつく。