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ロードームービー型中編小説。※台本ではありません ※この商品はメール便対象商品です(3点以内)
■作品説明
遠い、海の果てに。
世の中の人達からついうっかり忘れられた小さな王国がありました。
世の中のひとたちは、普段は、王国のことなどすっかり忘れていて、
自分のことや自分以外のもののことを考えたり考えなかったりしているのですが、
時々、ふとしたはずみに、
「そういえば。そんな王国があったっけ。」と、思い出すのでした。
思い出すと、なんだか幸せな気持ちになりました。
幸せな気持ちになると、いろんなことに挑戦してみたくなりました。
なので、どんどん忙しくなりました。
いつのまにか、王国のことは忘れてしまっているのでした。
そういうわけで、
王国のことを誰もが知っていましたが、王国については誰も何も知りませんでした。
さて。
誰も知らないことを調べるのが学者の仕事です。
王国のことを研究する学者は世界中に大勢いました。
王国のことを考えていると、どんどんやる気が出てくるのでした。
やる気になると、いろんなアイデアが沸いてきて、いろんなテーマに取り組みたくなりました。
そうこうしているうちに、いつの間にか王国のことは忘れてしまうのでした。
そういうわけで。
世界中のどの文献を調べても、王国のことは何もわかりません。
短い期間で歴史に名を残した王国がたくさんあるというのに、あったかどうかもはっきりしないまま物語や伝説になっている王国がたくさんあるというのに、この王国のことはどこにも記録がないのです。
これはもう、だれの所為でもなく、そういう王国なのだ、ということなのでした。
そして、これは、そういう王国のお話です。