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■商品説明
脚本・演出
フジタタイセイ
いま、わたしはあなたの■になりたい。
田瓶市の南端、旧山野辺村。
人口1000にも満たないこの集落に、近年越してきた者がある。
その者達は、引き取り手のなかった廃屋を買い取り改装して、小さな民宿をはじめた。
ご主人はよく気がつくし、奥さんは優しくて料理もうまいので、その民宿の評判は小さいなりに悪くない。
でもみんな気づいている。見ないふりをしている。
奇妙な御幣。閉じられた仏壇。廊下で遊ぶ爪の音。
彼らがどうして、ここに来たのか。
彼らがいったい、どこから来たのか。
お慕い申し上げております。
お慕い申し上げております。
どうかお傍に置いてください。
九つの地獄を越えて、この度十度目。
何度でも、何度でもお目にかかりたい。
あなたのお庭に小さな小屋を建てて、そこにわたしを置いてください。
もしくは、あなたのお部屋の本棚の上のいちばん上等なところに、わたしの肖像を磔にして。
どちらでもいい。どちらでも構いません。あなたの慰めになりたいのです。
そうしてあなたが、名前と居場所をわたしにくださったなら、
今度はわたしが、あなたに言葉をあげましょう。
至上の言葉を。あなたがあなたであるための言葉を。
神の言葉か、犬の言葉か、どちらでも、お好きなほうを。
繁栄と滅亡の狭間で揺れる"戊戌"の年の瀬。新生劇団肋骨蜜柑同好会が満身の力を込めて贈る、愛と不在の百物語。
ここに居るわたしから、ここには居ぬあなたへ。
いま、わたしはあなたの■になりたい。