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■商品説明
脚本
「あるいは現代のフランケンシュタイン」/ ホトンドケイ素
「象牙の塔(がんばったがダメ)」/ フジタタイセイ
バビロンからパライソへ
塔は下から建てなければならない。地盤がしっかりしていなければ、それはただの砂上の楼閣。吹けば飛ぶような、ハリボテの城に過ぎない。
ならば、地下から始めよう。
バビロンからパライソへ。積み上げた塔は天上を穿つか、それとも。
劇団肋骨蜜柑同好会が誇る、二人の脚本家が共通テーマで執筆。二つの塔、二つの希望、二つの挫折の物語。
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[第一の塔]
『あるいは現代のフランケンシュタイン』
男が塔を建てたのは、あの子のためだ。
遠い昔に会ったきり、もういなくなったあの子。
夏の思い出、塔の幽霊。
あれから随分と時間がたって、まだ彼の中にはあの子がいる。
彼の中にずっといる彼女は、でももうどこにもいない子。
だから彼は塔を建てたのだ。
人里離れた山奥に背の高い電波塔を。
その塔から発せられる電波は街の人々に降り注ぎ、
見えない踊りを見せ、聞こえない歌を聞かせるのだ。
その踊りを見て、歌を聞くのは彼一人なのかもしれないけれども。
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[第二の塔]
『象牙の塔(がんばったがダメ)』
がんばったけれどダメだったよ。
私はもうずっとここで暮らしている。
愛すべき本に囲まれて、何もわからず、何も残さず。
ひがないちにち、寝て起きて食べてまた眠る。
ただそれだけのイキモノ。
ああ、青よ。青。
お前もひとりぼっちかい。
散歩にでも、いこうか。