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2021年5月作品 ※この商品はメール便対象商品です(2点以内)
■商品説明
作・演出:春陽漁介
――私は、涙が溢れる。
よく「感受性が豊かだね」「優しい人だね」と言われるが本当にそうだろうか。映画や本で泣くのはまだいいが、美術館や博物館でも涙が止まらない。歴史に詳しいわけでも、思い入れがあるわけでもないし、なんなら何が良いのだろうとさえ思っているのに。友達とお茶をする。花が咲いている。赤ちゃんとすれ違う。老婆が階段を登っている。貯金がない。これら全てに涙が溢れる私の感情は、ただ「豊か」の一言で片付けられるほど穏やかじゃない。
――私は、涙を流さない。
すぐ「心が死んでいる」「冷たい人だ」と言われるが本当にそうだろうか。「泣ける」という宣伝で売り出される映画や本でまんまと泣いている人間は、単にストレス発散をしているだけで感受性は関係がない。本来、涙というのは他人には見せるべきものではなく、自分の人生において蓄積するパズルのピースのようなものがハマった瞬間に溢れるべき主観的なものなのだ。共感などという安い涙で大手を振っている連中には吐き気さえ感じる。
――私たちは、涙によって繋がった。
ごく平凡な日常で、私たちが出会った廊下。涙を流す私に声を掛けた彼は、怪訝な表情をしながらハンカチを渡した。
■出演
及川詩乃、石田雅利絵、小黒雄太、窪田道聡、榊木並、佐瀬恭代、高野アツシオ、村尾俊明、森島縁